【兵庫県】起業家支援事業助成金とは?対象・助成額・申請手順を行政書士が徹底解説(若者枠・一般枠ほか)
兵庫県内で起業・開業を考えている方にとって、心強い味方となるのが「起業家支援事業助成金」です。最大100万円(空き家活用等でさらに上乗せ)が助成される一方、ネット上にわかりやすい情報が少ない制度でもあります。この記事では、制度の内容から申請の流れ、採択のポイントまで、実際にこの助成金に採択された行政書士が、詳しく解説します。
1.起業家支援事業助成金とは

1-1.兵庫県で起業する人を支援する助成金
起業家支援事業助成金は、公益財団法人ひょうご産業活性化センター(兵庫県)が実施する制度です。審査委員会で「有望なビジネスプラン」と選定された起業家に対し、その事業化・具体化にかかる経費の一部を助成します。地域経済の活性化を目的としています。
1-2.4つの枠がある
この助成金には、次の4つの枠があります。
- 一般事業枠:県内で起業・第二創業する意欲ある方
- ふるさと・事業承継枠:県外から県内へ移住して起業・第二創業・事業承継する方、地域おこし協力隊として事業承継する方
- 若者枠:デジタル技術を活用して県内で起業・第二創業する若者(30歳以下の方に推奨)
- 社会的事業枠:地域社会の課題解決に資する事業を県内で起業する方
2.助成額・助成率・対象経費

2-1.助成額と助成率
- 助成率:対象経費の2分の1以内
- 助成限度額:起業・事業承継に要する経費は100万円以内。加えて、空き家を活用する場合は空き家活用経費100万円以内、ふるさと・事業承継枠では移住経費100万円以内が上乗せされます。
つまり、たとえば対象経費が200万円なら、その2分の1の100万円が助成される、というイメージです(上限あり)。
2-2.対象になる経費・ならない経費
対象となる主な経費は次のとおりです。
- 事務所開設費(店舗・事務所の賃料、内装工事費など)
- 備品費(事業に不可欠な家具・電化製品など)
- 専門家経費(税理士等への謝金、外注費など)
- 事業費(ホームページ作成費、チラシ、広告宣伝費、クラウドサービス料など)
一方で、次のようなものは対象外です。
- 1件あたり税抜50万円以上の財産(備品・工事など)
- 商品の仕入代、原材料費、消耗品
- 自動車・携帯電話・衣類など
- 税金、1万円未満の手数料、人件費、代表者や親族への支払い
2-3.助成金は「後払い」
注意したいのは、助成金は後払い(精算払い)である点です。採択された後、自分でいったん経費を支払い、その証拠書類を提出して精査を受けたうえで、あとから助成金が支払われます。手元資金の準備が必要です。
3.申請から交付までの流れ

起業家支援事業助成金は、申請すればすぐもらえるものではなく、いくつかの段階を経ます。令和8年度のスケジュールを例にすると、次のような流れです。
3-1.事前相談(必須)
まず、県内の商工会・商工会議所、またはよろず支援拠点で事前相談を受け、申請書を確認してもらう必要があります。これは必須のステップです。
3-2.申請(オンライン+書面)
受付期間内に、オンラインで基本事項を入力・送信し、あわせて書面の申請書類を支援機関へ提出します。令和8年度は、令和8年4月17日〜6月22日16時必着で受付が行われました(令和8年度の受付は終了しています)。
3-3.書面審査 → ヒアリング審査
提出後、まず書面審査が行われ、通過者に結果が通知されます。書面審査を通過すると、次にヒアリング審査があります。ヒアリングに参加できるのは申請者本人のみで、代理出席・共同経営者・通訳・家族の同席は認められません。
3-4.採択決定 → 交付申請 → 事業実施 → 実績報告 → 交付
審査を経て採択が決定すると、交付申請を行い、対象期間(令和8年度は令和9年1月末まで)に事業を実施します。その後、期限までに実績報告を提出し、内容が確認されてから助成金が交付されます。
4.対象者・主な要件

主な要件(全枠共通・一部抜粋)は次のとおりです。
- 申請者が代表者(実質的な経営者)であること
- 県内に居住、または期限までに居住予定であること
- ヒアリング審査に申請者本人のみが参加できること
- 所定の期間内に県内で起業・第二創業等をし、5年以上事業を続ける意思があること
- 起業前に一定額を超える事業所得がないこと 等
若者枠では、これに加えて「代表者が基準日時点で30歳以下」「デジタル技術(キャッシュレス決済・Web予約・EC・SNS・AI・クラウド等)を活用すること」が求められます。
5.見落としやすい注意点

5-1.過去に同種の助成を受けた人は対象外
過去に県・センターの起業家支援事業等の助成金を受けた方は、対象外です。枠が違えば複数の枠に申請できますが、実際に助成を受けられるのは1度のみで、重複しての交付決定はありません。
5-2.税金の滞納があると対象外
県税などの滞納があると対象外となり、採択後には納税証明書の提出も求められます。日頃からの適正な納税が前提です。
5-3.許認可が必要な事業は許可の取得も必要
飲食業など許認可が必要な事業では、事業完了時までに許可が得られない場合、対象外となります。開業許可と助成金申請を、並行して計画的に進める必要があります。
6.採択のポイント(考え方)

採択されるためには、選定基準(①新規性・独創性・優位性 ②市場性 ③マーケティング戦略 ④地域経済への波及効果 ⑤経営者の資質)を意識した事業計画づくりが欠かせません。細かな書き方のコツは一言では語れませんが、大きな方向性としては、「強みを絞り込むこと」「主張に数字の裏づけを持たせること」「コンセプトを一貫させること」が重要です。想定される質問に自分で答えを用意し、さらに一歩踏み込んで「なぜそう言えるのか」を掘り下げておくことが、ヒアリングでも活きてきます。
7.まとめ
起業家支援事業助成金は、兵庫県で起業する方にとって、最大100万円(上乗せあり)・助成率2分の1という心強い制度です。ただし、事前相談・書面審査・ヒアリングと段階が多く、後払いである点や、過去受給者は対象外である点など、注意すべきポイントもあります。令和8年度の受付は終了していますが、制度は例年見直しのうえ実施されており、次年度の募集は令和9年4月以降のスケジュールが予定されています。来年度の申請を目指す方は、今から準備を始めるのがおすすめです。事業計画づくりや申請でお困りの際は、実際に採択された弊所にお気軽にご相談ください。
弊所では、英語でのご対応はもちろん、その他の言語でもチャット機能を用いたスムーズなコミュニケーションに対応しております。日本語でのご相談やご説明も、ゆっくりと丁寧にお話しいたしますので、どうぞ安心してご相談ください。
執筆者プロフィール
行政書士
上田 恭兵(Ueda Kyohei)
神戸市中央区を拠点に、関西・近畿エリアを中心に活動しています。
外国人関連業務を中心に、在留資格申請、外国人雇用手続き、民泊許可などのサポートを行っています。
English inquiries are welcome.
参考文献・関連リンク
・公益財団法人ひょうご産業活性化センター「起業家支援事業」
・ひょうご産業活性化センター「令和8年度 起業家支援事業 ビジネスプラン募集要項」
・ひょうご産業活性化センター「助成金・補助金」