飲食店営業許可の取り方!未経験でも失敗しない申請の流れと必要書類
「自分のお店(カフェや居酒屋)をオープンしたい!」 そう考えたときに、絶対に避けて通れないのが「飲食店営業許可」の手続きです。
この許可を取らずに料理や飲み物を提供してお金をもらうと、法律違反(無許可営業)になってしまい、せっかく準備したお店が営業できなくなってしまいます。
「手続きって何だか難しそう……」 「専門用語が多くて、何から始めればいいか分からない」
安心してください。一見複雑そうに見える手続きも、一つずつ整理していけば決して難しいものではありません。この記事では、飲食店の営業許可を取るためのステップや、絶対に押さえておくべきポイントを、どこよりも分かりやすく丁寧に解説します。
1.飲食店営業許可とは?なぜ必要なのかを簡単に解説
飲食店営業許可とは、食品を扱うお店が「お客さんに安全な食べ物を提供できる環境が整っているか」を保健所がチェックし、認める仕組みのことです。
これは「食品衛生法」という日本の法律で厳しく決められています。
1-1.なぜ許可が必要なのか?
もし、生魚を扱うお店に冷蔵庫がなかったり、料理人が手を洗う水道がなかったりしたら、お客さんが食中毒を起こしてしまう危険があります。そうしたトラブルを防ぎ、みんなが安心して外食を楽しめるようにするために、国が「このお店なら安全に営業していいですよ」というお墨付きを与えるのが、この許可の目的です。
1-2.どんなお店に許可が必要?
ラーメン屋、カフェ、居酒屋、バーはもちろん、お弁当のテイクアウト専門店や、キッチンカー(移動販売車)なども、すべてこの「飲食店営業許可」が必要です。
2.営業許可を取るために必要な「2つの絶対条件」
お店を開くためには、大きく分けて次の2つの条件をどちらもクリアしなければなりません。
- 「人」の条件(食品衛生責任者の配置)
- 「お店(施設)」の条件(保健所の基準を満たす設備)
それぞれ具体的にどのようなものかを見ていきましょう。
2-1.「人」の条件:食品衛生責任者を1人置くこと
お店の中に、食品の安全を管理するリーダー(責任者)を必ず1人以上置かなければなりません。これを「食品衛生責任者」といいます。 調理師や栄養士の資格を持っている人は、そのまま責任者になれます。持っていない場合でも、保健所などが開催する「1日(約6時間)の講習会」を受講すれば、誰でも資格を取ることができます。
2-2.「お店」の条件:保健所のルールに合った設備を作ること
これが一番間違いやすいポイントです。いくらおしゃれな内装にしても、保健所の細かいルール(施設基準)をクリアしていないと、工事のやり直しになってしまいます。 具体的な基準の例をいくつか挙げます。
- 手洗い設備(手を洗う場所):厨房の中に、料理人が手を洗うための専用の水栓(蛇口)が必要です。手を洗う場所と、お皿を洗う場所は「別々」に分けなければなりません。また、水栓はレバー式やセンサー式(自動)など、清潔に保てるものである必要があります。
- シンク(流し台)の数:原則として、お皿や食材を洗うためのシンクは「2つ以上」必要です(2槽シンクなどと呼ばれます)。サイズにも決まりがあります。
- 冷蔵庫の温度計:食材を冷やす冷蔵庫や冷凍庫には、外から中の温度が確認できる「温度計」がついていなければなりません。
- 扉付きの食器棚:洗ったお皿にホコリや虫がつかないよう、必ず扉(スライド式や観音開きなど)がついている食器棚を用意します。
- 床や壁の素材:厨房の床や壁は、水洗いができたり、掃除がしやすかったりする素材(タイルや耐水性のあるシートなど)でなければなりません。
3.未経験でも迷わない!申請から営業開始までの「4ステップ」
実際に許可をもらうまでの大まかなスケジュールを解説します。
3-1.ステップ1:事前相談
お店の工事が始まる前に、店舗の図面(間取り図)を持って、お店の場所を管轄する保健所へ相談に行きます。 「この図面のままで手洗い場やシンクの数は足りていますか?」と事前に確認してもらうことで、工事が終わってから「基準に合っていないから作り直してください」と言われる最悪のトラブルを防ぐことができます。
3-2.ステップ2:書類の提出
お店の工事が完成する予定日の2週間〜10日前までに、保健所へ必要な書類と手数料を出します。 必要な書類には、申請書のほか、お店の図面、食品衛生責任者の資格を証明するもの(講習会の修了証など)、法人の場合は会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)などがあります。
3-3.ステップ3:実地検査
保健所の職員(食品衛生監視員)が、実際に完成したお店にやってきて、書類の図面通りに設備が作られているか、手洗い場からちゃんとお湯や水が出るかなどをチェックします。この検査には、お店のオーナー(申請者)も立ち会う必要があります。
3-4.ステップ4:許可証の交付と営業開始
検査で何も問題がなければ、数日後に「飲食店営業許可証」という賞状のような書類が発行されます。これをお店の中の見えやすい場所に掲示すれば、いよいよお店をオープンして営業を始めることができます。
4.営業許可の手続きで「よくある失敗と注意点」
初めてお店を開く方が、特につまずきやすい注意点を3つ紹介します。
4-1.物件を契約する前に「用途地域」などを確認する
「ここにお店を開こう!」と決めて家賃の契約を結んでしまっても、その場所のルール(建築基準法や都市計画法)によって、そもそも飲食店を開くことができない地域(一部の住宅専用地域など)があります。必ず不動産会社や専門家に確認しましょう。
4-2.深夜にお酒をメインに出す場合は別の届出が必要
深夜(午前0時以降)にお酒をメインに提供するバーや居酒屋などを開く場合は、保健所の「飲食店営業許可」だけでは足りません。警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業の届出」という、別の手続きを一緒に行う必要があります。
4-3.営業許可には「有効期限」がある
一度許可を取れば、一生ずっとお店を続けていいわけではありません。営業許可には「5年間」や「6年間」といった有効期限(期間は自治体によって異なります)が決められています。期限が切れる前に、更新の手続きを忘れないようにしましょう。
5.まとめ:スムーズにお店を開くなら、専門家である行政書士へ
飲食店営業許可の手続きは、お店のコンセプト決めやメニュー開発、スタッフの採用など、オープン前の最も忙しい時期と重なります。
「保健所に出す図面の書き方が分からない」 「オープン日に間に合うように、確実に一発で許可を取りたい」
そう思ったときは、自分だけで悩まずに、手続きの専門家である行政書士にお任せください。あなたの代わりに保健所との事前相談や書類作成、申請手続きをスムーズに行い、安心してお店の準備に専念できるようサポートいたします。
弊所では、英語でのご対応はもちろん、その他の言語でもチャット機能を用いたスムーズなコミュニケーションに対応しております。日本語でのご相談やご説明も、ゆっくりと丁寧にお話しいたしますので、どうぞ安心してご相談ください。
執筆者プロフィール
行政書士
上田 恭兵(Ueda Kyohei)
神戸市中央区を拠点に、関西・近畿エリアを中心に活動しています。
外国人関連業務を中心に、在留資格申請、外国人雇用手続き、民泊許可などのサポートを行っています。
English inquiries are welcome.
参考文献・関連リンク
・厚生労働省「食品衛生法の改正について」
・消費者庁「食品衛生法(e-Gov法令検索)」
・神戸市「飲食店営業許可の手続きについて(保健所)」