建設業では、慢性的な人手不足が続いており、多くの企業が人材確保に課題を抱えています。
高齢化や若手人材の不足により、現場の技能労働者が足りない状況が続いています。
実際、国土交通省「最近の建設業を巡る状況について」によると、建設業の就業者の約3割が55歳以上となっており、高齢化が進んでいることが指摘されています。一方で、29歳以下の若年層は約1割程度にとどまっており、将来的な人材不足が懸念されています。
こうした背景から、近年注目されているのが外国人材の雇用です。
特に建設分野では、在留資格「特定技能」により外国人が現場で働くことが可能となりました。
この記事では、
- 建設業の人手不足の現状
- 外国人雇用のメリット
- 建設分野の特定技能制度
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)
- 建設業で外国人を受け入れる条件
- 建設業で外国人を雇用する際の手続き
- 建設業で外国人を雇用する場合の費用
について、企業向けに分かりやすく解説します。
1. 建設業の人手不足の現状
建設業では、長年にわたり人手不足が深刻な問題となっています。
主な原因としては、次のような点が挙げられます。
- 技能労働者の高齢化
- 若年層の建設業離れ
- 建設需要の増加
国土交通省の統計によると、建設業就業者は1997年頃には約685万人でしたが、その後減少し、現在は約480万人程度となっています。
また、技能労働者の年齢構成を見ると
- 55歳以上:約36%
- 29歳以下:約12%
となっており、高齢化が進んでいる一方で若手人材が不足している状況です。
このような背景から、外国人材の受け入れは人手不足解消の重要な手段として注目されています。
2. 建設業で外国人を雇用するメリット
建設業で外国人を雇用することには、企業にとってさまざまなメリットがあります。
①人材不足を補うことができる
外国人材を採用することで、現場の人手不足を補うことができます。
特に特定技能制度では、技能試験などに合格した外国人が対象となるため、
一定の技能を持った人材を確保することが可能です。
②長期的な人材確保につながる
特定技能制度では、一定の条件を満たすことで比較的長期間働くことが可能です。
例えば
- 特定技能1号:最長5年間
の在留が認められています。
また建設分野では、条件を満たすことで特定技能2号へ移行することも可能であり、
長期的な人材確保につながる可能性があります。
③外国人側にもメリットがある
外国人労働者にとっても、日本の建設業で働くことにはメリットがあります。
例えば次のような点です。
- 日本の建設技術を学べる
- 安定した収入を得られる
- 技能向上やキャリア形成につながる
このように、企業と外国人双方にメリットがある制度として外国人雇用は広がりつつあります。
3. 建設分野の特定技能制度
建設業で外国人を雇用する場合、主に利用されるのが特定技能制度です。
特定技能とは、人手不足が深刻な産業分野において、
一定の技能と日本語能力を持つ外国人が働くことを認める在留資格です。
この制度は2019年に創設され、現在は複数の産業分野で外国人の受け入れが認められています。
建設分野では、技能試験や日本語試験に合格した外国人が、
建設現場で働くことができます。
特定技能制度の詳しい内容については、以下の記事で解説しています。
制度の詳細は、出入国在留管理庁の公式資料でも確認できます。
4. 建設キャリアアップシステム(CCUS)とは
建設分野で外国人を受け入れる場合、
建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が必要となります。
建設キャリアアップシステムとは、建設技能者の
- 資格
- 就業履歴
- 技能レベル
などを登録し、技能を見える化する仕組みです。
この制度は、国土交通省が推進している制度であり、
建設業界の人材育成や処遇改善を目的として導入されています。
CCUSにより、次のような管理が行われます。
- 技能者の能力評価
- 就業履歴の管理
- 技能向上の促進
特定技能外国人を受け入れる企業は、
原則としてこのシステムへの登録が求められています。
5. 建設業で外国人を受け入れるための条件
建設業で外国人を雇用する場合、企業側にもいくつかの条件があります。
主な要件は次の通りです。
- 建設業許可を取得していること
- 建設キャリアアップシステムへの登録
- 適正な労働条件を確保すること
- 日本人と同等以上の報酬を支払うこと
これらの要件は、外国人労働者の適正な就労環境を確保するために設けられています。
また、外国人材の
- 生活支援
- 各種手続き
など、企業側には一定の責任も求められます。
制度を正しく理解したうえで受け入れを進めることが重要です。
6. 建設業で外国人を雇用する際の手続き
建設業で外国人を雇用する場合、いくつかの手続きを行う必要があります。
主な流れは次の通りです。
① 外国人材の採用
② 在留資格の確認
③ 在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更申請
④ 雇用契約の締結
⑤ 入国または就労開始
外国人が海外にいる場合は、在留資格認定証明書交付申請を行います。
すでに日本に在留している外国人を採用する場合は、
- 在留資格変更許可申請
- 在留期間更新許可申請
などが必要になることがあります。
また、外国人を雇用した場合には、
ハローワークへの外国人雇用状況の届出を提出する義務があります。
7. 建設業で外国人を雇用する場合の費用
外国人を雇用する際には、一定の費用が発生します。
主な費用は次の通りです。
①在留資格申請費用
在留資格の申請には、次のような手数料が必要です。
- 在留資格変更許可申請:4,000円(収入印紙で納付)
- 在留期間更新許可申請:4,000円(収入印紙で納付)
※2026年現在の手数料
これらの手数料は、収入印紙を購入して納付する形となります。
また、行政書士などの専門家に依頼する場合は、別途報酬が発生することがあります。
②登録支援機関への委託費用
特定技能外国人を受け入れる場合、
生活支援などの業務を行う必要があります。
企業が自社で支援を行うことも可能ですが、
登録支援機関に委託するケースも多く見られます。
その場合の費用は
月額2万円〜3万円程度
が一般的とされています。
③渡航費・生活支援費
外国人が海外から来日する場合には
- 渡航費
- 住居の確保
- 生活サポート
などの費用が発生する場合があります。
企業によっては、住居の準備や生活支援を行うケースもあります。
8. 建設業の外国人雇用で注意すべきポイント
外国人雇用にはメリットがある一方で、注意すべき点もあります。
例えば次のような点です。
- 在留資格の確認
- 不法就労の防止
- 適切な雇用契約の締結
特に在留資格の確認を怠り、不法就労をさせてしまった場合、
企業が不法就労助長罪に問われる可能性があります。
外国人を雇用する際は、制度を正しく理解し、
適切な手続きを行うことが重要です。
9. 建設業で外国人雇用を検討している企業様へ
建設業の人手不足は今後も続くと予想されており、
外国人材の活用は重要な選択肢の一つとなっています。
しかし、外国人雇用には
- 在留資格の選択
- 入管手続き
- 受け入れ体制の整備
など、専門的な知識が必要になります。
制度を正しく理解せずに採用を進めると、
- 在留資格不許可
- 法令違反
につながる可能性もあります。
外国人雇用を検討している場合は、
専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
※現在は開業準備中のため、登録完了後の正式受任となりますが、ご相談や情報提供は随時承っております。
執筆者プロフィール
行政書士(登録申請中) 上田 恭兵(Ueda Kyohei)
神戸市中央区を拠点に、関西・近畿エリアで活動予定。
「難しいことを易しく、曖昧なことを明確に」をモットーに、在留資格申請や民泊許可などのサポートを行っています。
English inquiries are welcome.
参考文献
・国土交通省「最近の建設業を巡る状況について」
・出入国在留管理庁「特定技能制度について」
・厚生労働省「外国人雇用状況の届出」
・建設キャリアアップシステム公式サイト
