外食業では、慢性的な人手不足が続いており、多くの飲食店が人材確保に課題を抱えています。
少子高齢化の影響により、飲食業界ではアルバイトや正社員の確保が難しくなっており、特に都市部では人材不足が深刻な状況です。
こうした背景から、近年注目されているのが外国人材の雇用です。
外食業では在留資格「特定技能」により、外国人が飲食店で働くことが可能となっています。
この記事では、
- 外食業の人手不足の現状
- 外国人雇用のメリット
- 外食業分野の特定技能制度
- 外食業で外国人を受け入れる条件
- 外食業で外国人を雇用する際の手続き
- 外食業で外国人を雇用する場合の費用
について、飲食店経営者向けに分かりやすく解説します。
1. 外食業の人手不足の現状
外食業では、長年にわたり人手不足が続いています。
特に次のような理由により、人材確保が難しくなっています。
- 少子高齢化による労働人口の減少
- 飲食業界の労働環境に対するイメージ
- 繁忙時間帯の人材不足
実際に外食業界では、アルバイトやパートの採用が難しくなっており、店舗運営に影響が出ているケースも少なくありません。
こうした状況を受けて、政府は外国人材の受け入れ制度を整備し、外食業でも外国人労働者が働けるようになりました。
2. 外食業で外国人を雇用するメリット
外食業で外国人を雇用することには、企業側にとってさまざまなメリットがあります。
①人材不足を補うことができる
外国人材を採用することで、飲食店の人手不足を補うことができます。
特定技能制度では、外食業に関する技能試験に合格した外国人が対象となるため、一定の知識や技能を持った人材を確保することが可能です。
②長期的な人材確保につながる
特定技能制度では、一定の条件を満たすことで比較的長期間働くことが可能です。
例えば
- 特定技能1号:最長5年間
の在留が認められています。
そのため、飲食店にとっては長期的な人材確保につながる可能性があります。
3. 外国人側にもメリットがある
企業側だけでなく、働く外国人にとっても日本の外食業に携わることには大きな魅力があります。ここでは代表的な4つのメリットを紹介します。
①日本独自の飲食サービスと「和食」の技術を学べる
日本の飲食サービス(おもてなし)は世界的に高く評価されています。また、「和食を学びたい」という意欲を持って来日する外国人は多く、居酒屋などの現場で調理技術や衛生管理、日本独自のサービスを実践的に学べることは、将来のキャリアにおいて大きな財産となります。
②日本の文化に深く馴染み、接客スキルが身につく
外食業は、お客様と直接コミュニケーションを取る機会が非常に多い仕事です。日々の接客を通じて、日本の礼儀作法や対人マナー、チームワークの重要性を肌で感じることができます。これは単なる労働以上の「日本文化への深い理解」に繋がります。
③日本語能力の飛躍的な向上と、安定した生活
現場でのやり取りや接客は、日本語能力(特に聴解・会話力)を向上させる最高の環境です。また、特定技能制度などに基づく雇用は、日本人と同等以上の報酬が担保されているため、経済的な安定を得ながら安心して日本での生活を送ることができます。
④日本の食文化を楽しみ、公私の充実を図れる
「日本の食事が好き」という理由は、来日の強力なモチベーションの一つです。自分が好きな外食産業の一員として働き、時には賄いや食事補助を通じて日本の豊かな食に触れることは、働くモチベーションの維持や生活の満足度向上に直結します。
4. 外食業分野の特定技能制度
外食業で外国人を雇用する場合、主に利用されるのが特定技能制度です。
特定技能とは、人手不足が深刻な産業分野において、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が働くことを認める在留資格です。
この制度は2019年に創設され、現在は複数の産業分野で外国人の受け入れが認められています。
外食業では、次のような業務に従事することができます。
- 調理
- 接客
- 店舗管理の補助
- 食材管理
ただし、風営法の対象となる業態(接待を伴う飲食店など)では、特定技能外国人を雇用することはできません。
特定技能制度の詳しい内容については、以下の記事で解説しています。
制度の詳細は、出入国在留管理庁の公式資料でも確認できます。
5. 外食業で外国人を受け入れるための条件
外食業で外国人を雇用する場合、企業側にも一定の条件があります。
主な要件は次の通りです。
- 適正な労働条件を確保すること
- 日本人と同等以上の報酬を支払うこと
- 外国人の生活支援体制を整えること
- 外食業特定技能協議会に加入すること
これらの条件は、外国人労働者の適正な労働環境を確保するために設けられています。
また、企業には生活支援などの責任も求められます。
6. 外食業で外国人を雇用する際の手続き
外食業で外国人を雇用する場合、いくつかの手続きを行う必要があります。
主な流れは次の通りです。
① 外国人材の採用
② 在留資格の確認
③ 在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更申請
④ 雇用契約の締結
⑤ 入国または就労開始
外国人が海外にいる場合は、在留資格認定証明書交付申請を行います。
すでに日本に在留している外国人を採用する場合は、
- 在留資格変更許可申請
- 在留期間更新許可申請
などが必要になることがあります。
また、外国人を雇用した場合には、ハローワークへの外国人雇用状況の届出を提出する義務があります。
7. 外食業で外国人を雇用する場合の費用
外国人を雇用する際には、一定の費用が発生します。
主な費用は次の通りです。
①在留資格申請費用
在留資格の申請には、次のような手数料が必要です。
- 在留資格変更許可申請:4,000円(収入印紙で納付)
- 在留期間更新許可申請:4,000円(収入印紙で納付)
※2026年現在の手数料
これらの手数料は、収入印紙を購入して納付する形となります。
また、行政書士などの専門家に依頼する場合は、別途報酬が発生することがあります。
②登録支援機関への委託費用
特定技能外国人を受け入れる場合、生活支援などの業務を行う必要があります。 企業が自社で支援を行うことも可能ですが、登録支援機関に委託するケースも多く見られます。
その場合の費用は、「1人あたり月額2万円〜3万円程度」が一般的とされています。
【根拠データ】 出入国在留管理庁の調査によると、委託料の平均額は28,386円となっており、約9割の企業が3万円以下に設定しています。
(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度の運用状況に関する調査」より)
8. 外食業の外国人雇用で注意すべきポイント
外国人雇用にはメリットがある一方で、注意すべき点もあります。
例えば次のような点です。
- 在留資格の確認
- 不法就労の防止
- 適切な雇用契約の締結
特に在留資格の確認を怠り、不法就労をさせてしまった場合、企業が不法就労助長罪に問われる可能性があります。
外国人を雇用する際は、制度を正しく理解し、適切な手続きを行うことが重要です。
9. 外食業で外国人雇用を検討している企業様へ
外食業の人手不足は今後も続くと予想されており、外国人材の活用は重要な選択肢の一つとなっています。
しかし、外国人雇用には
- 在留資格の選択
- 入管手続き
- 受け入れ体制の整備
など、専門的な知識が必要になります。
制度を正しく理解せずに採用を進めると、
- 在留資格不許可
- 法令違反
につながる可能性もあります。
外国人雇用を検討している場合は、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
※現在は開業準備中のため、登録完了後の正式受任となりますが、ご相談や情報提供は随時承っております。
執筆者プロフィール
行政書士(登録申請中) 上田 恭兵(Ueda Kyohei)
神戸市中央区を拠点に、関西・近畿エリアで活動予定。
「難しいことを易しく、曖昧なことを明確に」をモットーに、在留資格申請や民泊許可などのサポートを行っています。
English inquiries are welcome.
