介護で外国人を雇用するには?特定技能・技能実習・EPA・在留資格「介護」の違いと受け入れ条件を解説

国際業務(入管・在留資格)

介護業界では、慢性的な人手不足が続いており、多くの介護事業者が人材確保に課題を抱えています。
そのため近年では、外国人雇用を検討する介護施設や事業所が増えています。

日本では高齢化が急速に進んでおり、介護サービスの需要は年々増加しています。一方で、介護職員の不足は深刻化しており、施設や事業所の運営に影響が出ているケースも少なくありません。

こうした背景から、近年注目されているのが外国人材の雇用です。

現在、介護分野では主に以下の4つの在留資格により、外国人が介護現場で働くことが可能となっています。

  • 特定技能
  • 技能実習(育成就労制度への移行期間含む)
  • EPA(経済連携協定)
  • 在留資格「介護」

この記事では、介護業界の人手不足の現状から、各制度の違い、受け入れ条件、手続きや費用まで、介護事業者向けに分かりやすく解説します。


1. 介護業界の人手不足の現状

介護業界では、長年にわたり人手不足が深刻な問題となっています。主な原因としては、次のような点が挙げられます。

  • 高齢化による介護需要の増加
  • 介護職員の離職率の高さ
  • 若年層の労働人口減少

2026年現在、介護サービスの需要はピークに向かって拡大しており、外国人材の受け入れは単なる「補充」ではなく、事業継続のための「不可欠な戦略」となっています。


2. 介護業界で外国人を雇用するメリット

外国人材を採用することで、現場に活気が生まれるだけでなく、以下のような実務的なメリットがあります。

人材不足の解消
一定の技能を持つ即戦力を確保できます。

長期的なキャリアパス
介護福祉士資格を取得することで、永住や家族帯同も視野に入れた長期就労が可能です。

現場の活性化
意欲の高い若手人材が加わることで、職場全体の士気が高まる傾向にあります。


3. 介護分野の外国人受け入れ制度(4つのルート)

3-1. 特定技能(1号・2号)

最も一般的なルートです。18歳以上で、介護技能評価試験と日本語試験(日常日本語+介護日本語)に合格した人材が対象です。

注目ポイントとして、2025年4月より、一定の要件(実務経験1年以上、初任者研修修了など)を満たせば、訪問介護への従事も可能となりました。

特定技能制度の詳細については、以下の記事でも解説しています。


3-2. 技能実習(新制度「育成就労」へ)

技能実習制度は、日本の技能を海外に伝えることを目的とした制度です。

現在は制度改革が進められており、「育成就労制度」への移行が予定されています。
新制度では、人材育成と人材確保の両面を目的とした制度へと変更される見込みです。


3-3. EPA(経済連携協定)

EPAとは、日本とインドネシア・フィリピン・ベトナムなどの国との経済連携協定に基づく制度です。

EPA介護福祉士候補者は、日本で働きながら介護福祉士資格の取得を目指します。

原則として入国後4年以内に資格取得を目指し、資格取得後は長期的に日本で働くことが可能になります。


3-4. 在留資格「介護」

在留資格「介護」は、日本の専門学校や大学で介護を学び、介護福祉士資格を取得した外国人に付与される在留資格です。

この資格には在留期間の更新回数の制限がなく、条件を満たせば家族帯同も可能です。

そのため、長期的な就労が期待できる在留資格といえます。


4. 介護事業所が外国人を受け入れるための条件

介護事業所が外国人を雇用する場合、主に次のような条件があります。

  • 適正な労働条件を確保すること
  • 日本人と同等以上の報酬を支払うこと
  • 外国人の生活支援体制を整えること

特に特定技能外国人を受け入れる場合には、生活支援計画の作成・実施が必要となります。

企業が自社で支援を行うことも可能ですが、登録支援機関へ委託するケースが一般的です。


5. 外国人を雇用する際の手続き

外国人を雇用する場合、一般的には次のような流れで手続きが進みます。

① 人材の募集・採用内定
② 雇用契約の締結
③ 在留資格の申請(入管局)
④ 入国・研修・就労開始
⑤ 協議会への加入(入国後4ヶ月以内)

また、外国人を雇用した場合には、ハローワークへ外国人雇用状況の届出を提出する義務があります。


6. 介護業界で外国人雇用にかかる費用

6-1. 在留資格申請費用(公的手数料)

在留資格の申請には、次のような手数料が必要です。

  • 在留資格変更許可申請:4,000円(収入印紙)
  • 在留期間更新許可申請:4,000円(収入印紙)

※2026年現在の手数料

また、在留資格認定証明書交付申請の場合は手数料は不要ですが、渡航費や書類作成費用などが発生することがあります。


6-2. 登録支援機関への委託費用

特定技能外国人を受け入れる場合、生活支援などの業務を登録支援機関へ委託するケースが多く見られます。

費用の相場は

月額2万円〜3万円程度

とされています。

(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度の運用状況に関する調査」平均28,386円)


7. 注意すべきポイント

外国人雇用にはメリットがある一方で、注意すべき点もあります。

不法就労の防止
在留カードの原本確認と、在留期限の管理を徹底する必要があります。

コミュニケーション体制の整備
日本語能力だけでなく、文化の違いを理解する「多文化共生」の視点が重要になります。

外国人材が安心して働ける環境を整えることが、長期的な定着につながります。


8. 介護業界で外国人雇用を検討している事業者へ

介護分野の外国人雇用制度は複雑ですが、正しく活用することで安定した人材確保につながります。

しかし、制度の選択や入管手続き、受け入れ体制の整備などには専門的な知識が必要です。

制度を正しく理解しないまま採用を進めると、

  • 在留資格の不許可
  • 法令違反

につながる可能性もあります。

外国人雇用を検討している場合は、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

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※現在は開業準備中のため、登録完了後の正式受任となりますが、ご相談や情報提供は随時承っております。


執筆者プロフィール

行政書士(登録申請中) 上田 恭兵(Ueda Kyohei)

神戸市中央区を拠点に、関西・近畿エリアで活動予定。

「難しいことを易しく、曖昧なことを明確に」をモットーに、在留資格申請や民泊許可などのサポートを行っています。

English inquiries are welcome.

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参考文献

・厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」
・出入国在留管理庁「在留資格制度」
・厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れ」
・厚生労働省「介護人材確保の現状について」
・公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)「EPA外国人介護福祉士候補者制度」