日本語能力試験(JLPT)で高得点を取る方法|ビジネス日本語試験(BJT)との違いも解説
日本語の試験には、いわゆる「JLPT」だけでなく、ビジネス向けの試験など複数の種類があります。この記事では、代表的な日本語試験の種類を整理したうえで、高得点を取るための学習のポイントを、元教師の視点も交えて解説します。
1.日本語能力試験にはどんな種類があるのか

1-1.JLPT(日本語能力試験)とは
JLPT(日本語能力試験)は、日本語を母語としない人の日本語力を測定・認定する試験で、国際交流基金と日本国際教育支援協会(JEES)が共催しています。レベルはやさしい順にN5・N4・N3・N2・N1の5段階に分かれており、原則として国内では年2回(7月・12月)実施されます。2026年は第1回が7月5日、第2回が12月6日に実施されます。
1-2.ビジネス日本語能力テスト(BJT)とは
BJTは、公益財団法人日本漢字能力検定協会が実施する試験で、ビジネスの現場で実際に使う日本語のコミュニケーション能力を測ることに特化しています。JLPTのような合否判定ではなく、0点から800点までのスコアと、J1+からJ5までの6段階評価で結果が示されます。コンピューターを使って受験するCBT方式で、試験終了後すぐに画面上でスコアを確認できるのも特徴です。なお、BJTスコア480点以上がJLPT N1と同等の水準として位置づけられています。
1-3.その他の日本語試験(J.TESTなど)
このほかにも、J.TEST実用日本語検定など、日本語力を測る試験はいくつか存在します。それぞれ主催団体や採点方式、活用されている業界が異なるため、自分が何のために受験するのか(就職、進学、ビザ申請など)に応じて、どの試験を受けるべきかを考えることが大切です。
2.日本語試験のスコアが持つ意味(ビザ・キャリアとの関係)

2-1.高度専門職ポイント制との関係
出入国在留管理庁が運用する「高度人材ポイント制」では、JLPT N1を保有している場合に15点、N2を保有している場合に10点が加点されます。高度専門職の在留資格は、学歴・職歴・年収などとあわせて合計70点以上を獲得することが要件となっており、日本語能力試験のスコアはその一部を構成する重要な要素です。
2-2.特定技能や就職活動での評価
特定技能の在留資格でも、分野・業務区分によって日本語能力の証明が求められる場合があり、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)またはJLPTのスコアが用いられることがあります。また、ビザの要件とは別に、就職・転職活動の場面でも、JLPTやBJTのスコアは日本語力を客観的に示す材料として評価されることが多くあります。
2-3.技人国(技術・人文知識・国際業務)ビザとN2の関係
「技人国はN2が必要」という話を耳にすることがありますが、正確には少し条件が限定されています。出入国在留管理庁によると、2026年4月15日以降の申請から、企業のカテゴリー3・4に該当し、かつ、翻訳・通訳やホテルフロント業務など「主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合」に限り、業務上使用する言語についてCEFR・B2相当の言語能力を有することを証する資料の提出が必要になりました。
このCEFR・B2相当は、次のいずれかに該当すれば満たしているとみなされます。
- JLPT N2以上を取得していること
- BJT(ビジネス日本語能力テスト)で400点以上を取得していること
- 中長期在留者として20年以上日本に在留していること
- 日本の大学、高等専門学校の専門課程・専攻科を卒業・修了していること
- 日本の義務教育を修了し、高等学校を卒業していること
つまり、すべての技人国ビザにN2が一律で必要というわけではなく、「対人業務・言語を用いる業務」に従事する場合の要件である点に注意が必要です。もっとも、対象に当たらない業務であっても、実務上のコミュニケーション力として、企業側がN2程度の日本語力を採用の目安にしているケースは少なくありません。
3.高得点を取るための学習の基本方針

3-1.インプットとアウトプットのバランス
単語や文法を覚えるインプットだけに偏ると、実際の試験で「知っているのに使えない」という状態に陥りがちです。覚えた表現を実際に文章にしてみる、声に出してみるといったアウトプットの機会を、学習の中に意識的に組み込むことが高得点への近道です。
3-2.音読・多読を組み合わせる
音読は、文法や語彙を「頭で理解する」段階から「口が覚える」段階へ引き上げるのに効果的です。あわせて、自分のレベルより少し易しい文章をたくさん読む「多読」を組み合わせることで、意味を推測しながら読むスピードと語彙の定着が同時に鍛えられます。
3-3.過去問・模試で時間配分を体に覚えさせる
JLPTもBJTも時間配分が合否・スコアを左右します。過去問や模試を、本番と同じ制限時間で解く練習を繰り返すことで、「どの問題にどれくらい時間をかけられるか」の感覚が身についていきます。
4.元教師が伝えたい、学習効果を高めるコツ

4-1.漢字はコツコツと-日本人が子供の頃にしていた学び方
日本人は、小学1年生の頃から専用の「漢字練習帳」を使って漢字を学びます。1ページ分の練習が宿題として出され、次の日に学校で小さなテストを受ける、という繰り返しです。教科書の音読も毎日の課題で、1つの物語は長くても10分程度で読み終わるものを、家族に聞いてもらいながら繰り返し読んでいました。特別なことをしていたわけではなく、コツコツと同じことを積み重ねていただけです。日本語学習でも、小学生〜中学生向けの参考書や漢字ドリルは、遠回りに見えて実はとても効率的な教材だと感じています。
4-2.スケジュールは逆算して立てる
試験日から逆算して、「いつまでに何を終わらせるか」を決めてから日々の学習に落とし込むことをおすすめします。目の前の教材から手当たり次第に進めるよりも、ゴールから逆算したスケジュールの方が、学習の抜け漏れに気づきやすくなります。
4-3.アウトプットの相手を見つける-日本人と話す方法
「日本人と話してアウトプットしたいけれど、周りにいない」という声をよく聞きます。身近にいなくても、言語交換アプリ、オンライン日本語会話サービス、自治体や国際交流協会が開催する交流イベント、地域の日本語教室など、話し相手を見つける方法はいくつもあります。まずは自分に合いそうな場を1つ試してみることが第一歩です。
4-4.好きな作品を見つける-アニメやドラマの活用
これまで合格者や高得点者の方と話していて感じるのは、多くの方が自分のお気に入りのアニメやドラマを見つけて、繰り返し視聴していたということです。個人的には、子供向けのテレビ番組や動画も非常に役立つと考えています。セリフがゆっくりで分かりやすく、日常でよく使う表現が多いため、学習の入り口として取り組みやすいためです。
4-5.漫画喫茶も学びの場になる
漫画喫茶で好きな漫画を読みながら日本語に触れるというのも、一つの選択肢です。堅苦しく感じず、楽しみながら語彙や表現に触れられる場として活用できます。
4-6.読書は簡単なものから-難しすぎる本でモチベーションを落とさない
小学生の頃、週に1〜2時間ほど、授業の中で学校の図書館の本を借りて読む「読書の時間」がありました。週にわずかな時間だったからこそ、負担に感じることなく楽しく読めていたのを覚えています。一方で、中学生の時に文庫本の「吾輩は猫である」に挑戦したことがあるのですが、読み仮名もなく、意味の分からない単語も多すぎて、調べながら読むうちに全く読み進められず、結局モチベーションが下がってしまいました。日本語学習でも同じで、いきなり難しい本に挑戦するとやる気を失う原因になります。まずは易しいものから始めて、少しずつ難易度を上げていくことをおすすめします。
4-7.自分に合った方法を探す-「ACTION」が一番の近道
私自身、英語を勉強したときは、単語を無理やり覚え、文法の参考書を何度も繰り返し解くという方法で身につけました。それでも身についたことは確かですが、もっと近道があったのではないかと感じています。そう気づいたのは、帰国子女の方たちと話したときでした。彼らは、日本人が受けるような「机に向かって覚える」勉強法ではなく、好きな本や映画に触れたり、実際に現地で使ったりする中で、自然と言語を身につけていました。
大切なのは、頭で考えるだけでなく、実際に行動してみる「ACTION」です。もちろん、楽な方法ばかりではありませんが、学び方は一つではありません。いろいろな方法を試してみる中で、自分に合った最短距離が見つかるはずです。
こうした学習に関するお悩みも、お気軽にご相談ください。元教師としての知見を踏まえたアドバイスも可能です。さらに具体的な学習計画まで相談したいという方には、日本語学習コンサルティングも行っております。
5.まとめ
日本語試験には、JLPT・BJT・J.TESTなど目的に応じたさまざまな種類があります。技人国ビザについても、N2が一律で必要というわけではなく、対象となる業務・カテゴリーが限定されている点を正しく理解しておくことが大切です。そのうえで、インプットとアウトプットのバランス、音読・多読、時間配分の練習といった学習の基本、そしてコツコツ積み重ねる姿勢や自分に合った方法を探す「ACTION」を意識することが、高得点への一番の近道です。
弊所では、英語でのご対応はもちろん、その他の言語でもチャット機能を用いたスムーズなコミュニケーションに対応しております。日本語でのご相談やご説明も、ゆっくりと丁寧にお話しいたしますので、どうぞ安心してご相談ください。
執筆者プロフィール
行政書士
上田 恭兵(Ueda Kyohei)
神戸市中央区を拠点に、関西・近畿エリアを中心に活動しています。
外国人関連業務を中心に、在留資格申請、外国人雇用手続き、民泊許可などのサポートを行っています。
English inquiries are welcome.
参考文献・関連リンク
・日本語能力試験公式サイト「日本語能力試験 JLPT」
・日本語能力試験公式サイト「得点区分・合否判定・結果通知」
・公益財団法人日本漢字能力検定協会「BJTビジネス日本語能力テスト レベル&サンプル」
・出入国在留管理庁「高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度」
・出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」