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【2026年・ガイドライン案】永住者の在留資格が取り消される?税金滞納・法令違反の新ルールを行政書士が解説

これまで「一度取得すれば安心」と思われがちだった永住者の在留資格。しかし、令和6年の入管法改正により、一定の場合には永住者の在留資格が取り消される制度が新たに設けられました。この記事では、出入国在留管理庁が公表した「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン(案)」の内容を、わかりやすく解説します。

1.永住者の在留資格の取消しとは

1-1.なぜ新しい制度ができたのか

永住者の在留資格は、活動や在留期間に制限がなく、永住が許可された後は在留期間の更新のような審査を受ける機会がありません。そのため、許可された時点では要件を満たしていても、その後に要件を満たさなくなるケースが一部で見られました。そこで令和6年の改正入管法で、一定の悪質な場合に永住者の在留資格を取り消せる事由が追加されました。

1-2.あくまで「案」の段階です

今回解説するのは、出入国在留管理庁が公表したガイドラインの「案」であり、パブリックコメント(意見募集)を経て内容が固まっていく段階のものです。制度自体は改正法で定められていますが、運用の細かな考え方は、この案をベースに最終的に確定します。

2.取り消される可能性がある3つの事由

改正入管法(第22条の4第1項8号・9号)では、次の3つが取消事由として定められています。

2-1.入管法上の義務を守らないこと(8号)

在留カードの携帯・提示の義務や、有効期間の更新・再交付の申請義務などを守らない場合が対象です。ただし、ガイドライン案では、うっかり在留カードを携帯し忘れた、更新を失念したといった一度の不注意だけで在留資格を取り消すことは想定していない、と明記されています。あくまで、繰り返し指導しても守らない、今後も守る意思がないといった悪質なケースが念頭に置かれています。

2-2.故意に公租公課(税金・保険料)を支払わないこと(8号)

ここでいう「公租公課」とは、所得税・住民税・法人税・固定資産税などの税金や、国民健康保険・健康保険・国民年金・厚生年金などの保険料を指します。なお、交通違反の反則金や各種手数料は含まれません。

重要なのは「故意に」という点です。単に支払っていない事実があるだけでは足りず、支払う意思がないことが明白といえる悪質な場合に限定されます。ガイドライン案では、該当する例・該当しない例が具体的に示されています。

該当すると想定される例:

  • 長期間滞納したうえ、届出なく転居して所在不明になっている
  • 繰り返し催告・滞納処分を受けても、納付の意思を示さない
  • 分納や猶予の約束をしたのに、期限までの納付を繰り返し守らない
  • 脱税などで有罪判決を受けた

該当しないと想定される例:

  • 病気・災害・失業などのやむを得ない事情で支払えない場合(事業不振、DV被害による生活困難、ハラスメントによる離職なども含む)
  • 催告に応じて支払う意思を示し、分納や猶予の措置を受けている場合
  • 生活保護に準じた措置を受けている場合
  • 給与から天引きされているのに、勤務先が納めていない場合

このように、「払えない事情がある人」ではなく、「払えるのにあえて払わない悪質な人」が対象である点がポイントです。

2-3.特定の刑罰法令違反で拘禁刑に処せられたこと(9号)

刑法の窃盗・詐欺・恐喝・殺人・傷害などや、危険運転致死傷など、一定の重い故意犯で拘禁刑(執行猶予が付いた場合を含む)に処せられた場合が対象です。すべての犯罪が対象ではなく、法律で定められた特定の罪に限られています。

3.取り消されても「すぐ国外退去」ではない

3-1.多くの場合は「定住者」への職権変更

見落とされがちですが、非常に重要な点があります。取消事由に該当しても、直ちに在留資格を取り消して出国させるのではなく、原則として、法務大臣の職権で「永住者」以外の在留資格へ変更する(職権変更)しくみになっています。ガイドライン案では、そのほとんどが「定住者」への変更を想定していると示されています。つまり、永住者ではなくなっても、日本での在留自体は続けられるケースが多いということです。

3-2.再び永住許可を受けることも可能

職権変更で定住者などになった後、あらためて永住許可の要件を満たせば、再度永住許可を受けることも可能とされています。一度の取消しですべてが終わるわけではありません。

4.どんな場合に「取消し(在留不可)」となるのか

4-1.在留が認められないのは「特に悪質」なケース

在留資格を完全に取り消し、日本にいられなくなる(在留不可)のは、「引き続き日本に在留することが適当でない」と判断される場合です。ガイドライン案では、たとえば次のようなケースが挙げられています。

  • 繰り返し指導しても義務を守らず、今後も守る意思がないと認められる
  • 今後も税金等を支払う意思がないことが明白、または滞納が社会通念上見過ごせない
  • 脱税で有罪となった、偽造在留カードを行使しようとした
  • 犯罪傾向が進んでいると認められる

4-2.家族関係や人道上の配慮

一方で、取消しが相当と判断される場合でも、特に家族関係や人道上の配慮が必要なときは、取り消さずに職権変更にとどめることもあり得るとされています。制度は、悪質な行為には厳正に対処しつつ、永住者やその家族の日本への定着性にも配慮して運用するとされています。

5.永住者・永住希望者が今からできること

5-1.納税・社会保険は期限内に、督促は放置しない

この制度で最も現実的に関わってくるのが「公租公課の不払い」です。大切なのは、税金や社会保険料を期限内にきちんと納めること、そして万一支払いが難しいときは、督促や催告を放置せず、役所に相談して分納や猶予の手続きを取ることです。ガイドライン案でも、支払う意思を示して相談している人は該当しないとされています。

5-2.在留カードの管理などの基本を徹底する

在留カードの携帯・更新など、基本的な義務を守ることも大切です。難しいことではありませんが、うっかりを積み重ねないよう、日頃から意識しておきましょう。

5-3.在留期間は無期限でも、在留カードの更新は必要——ここが一番の落とし穴

今回の制度で、永住者の方に特に気をつけていただきたいのが、この点です。

永住者の在留資格は「在留期間に制限がない」ため、多くの方が「もう期限を気にしなくていい」と安心されます。しかし、ここに大きな落とし穴があります。「在留資格の在留期間」と「在留カードの有効期間」は、まったくの別物だからです。

在留期間は無期限でも、在留カード自体には有効期間があります。永住者の在留カードの有効期間は、16歳以上の方で交付の日から7年間です。この期限が来る前に、必ず在留カードの有効期間更新申請をしなければなりません。

やっかいなのは、永住者には在留期間の更新という機会がないため、カードの有効期間が近づいていることに気づきにくく、つい更新を忘れてしまいやすいという点です。

この在留カードの有効期間更新申請を怠ると、ガイドライン案に挙げられている「入管法上の義務違反(8号)」の取消事由に該当し得ます。さらに、期限切れの在留カードを持ち続けることは、在留カードの携帯義務にも継続して違反し続けることになってしまいます。

もちろん、一度うっかり忘れただけで直ちに取り消されることは想定されていません。しかし、放置してしまえば「今後も義務を守る意思がない」と見られ、リスクが高まります。「在留期間は無期限だから大丈夫」ではなく、在留カードの有効期間満了日は必ず確認し、満了の2か月前から満了日までの間に、忘れずに更新申請を行いましょう。この一手間が、永住者としての地位を守る一番の基本です。

6.まとめ

令和6年の改正入管法により、永住者の在留資格にも取消しの制度が設けられ、その運用指針の案が公表されました。対象となるのは、入管法上の義務違反、故意の公租公課の不払い、特定の刑罰法令違反の3つですが、いずれも「うっかり」や「やむを得ない事情」ではなく、悪質なケースが念頭に置かれています。また、取り消される場合でも多くは定住者への変更となり、直ちに出国となるわけではありません。とはいえ、日頃から納税や義務の履行を徹底しておくことが、何よりの安心につながります。ご不安のある方は、お早めにご相談ください。

弊所では、英語でのご対応はもちろん、その他の言語でもチャット機能を用いたスムーズなコミュニケーションに対応しております。日本語でのご相談やご説明も、ゆっくりと丁寧にお話しいたしますので、どうぞ安心してご相談ください。

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執筆者プロフィール

行政書士
上田 恭兵(Ueda Kyohei)

神戸市中央区を拠点に、関西・近畿エリアを中心に活動しています。

外国人関連業務を中心に、在留資格申請、外国人雇用手続き、民泊許可などのサポートを行っています。

English inquiries are welcome.

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参考文献・関連リンク

・出入国在留管理庁「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン(案)」(e-Govパブリック・コメント資料) 
・e-Govパブリック・コメント(意見募集トップ)
・出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」

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