ビザ・在留資格申請

入管庁と国税庁が情報連携を開始|外国人の在留審査と納税の関係をわかりやすく解説

2026年7月1日から、出入国在留管理庁(入管庁)と国税庁が、在留外国人に関する情報連携を開始しました。これにより、税金の納付状況が、これまで以上に在留資格の審査に影響する可能性があります。この記事では、今回の情報連携の内容に加えて、そもそも日本における「納税」がどのような意味を持つのか、その歴史も交えながら、外国人の方にもわかりやすく解説します。

1.入管庁と国税庁の情報連携とは(2026年7月開始)

1-1.いつから、何のために始まったのか

自由民主党の発表などによると、入管庁と国税庁は2026年7月1日から、在留外国人に関する情報連携を開始しました。目的は、「在留外国人の公正な管理」と、「内国税の適正かつ公平な賦課と徴収」を実現することにあります。簡単に言えば、税金をきちんと納めている人が正しく評価され、悪質に納税義務に違反している人にはきちんと対応する、という仕組みを両省庁が協力して作る、ということです。

1-2.どのような情報が連携されるのか

情報連携の内容は、大きく次の2方向です。

  • 国税庁から入管庁へ:消費税・所得税・法人税などについて、納税義務に悪質に違反した在留外国人に関する情報を提供する。
  • 入管庁から国税庁へ:在留資格申請の状況や、特定の在留資格・在留期間を持つ外国人に関する情報を提供する。

つまり、これまで別々に管理されていた「在留」と「納税」の情報が、両省庁の間で共有されるようになった、という点が今回の大きな変化です。

1-3.在留審査への影響(とくに「経営・管理」)

入管庁は、国税庁から提供された情報を活用して、外国人が在留資格の申請を行う際に、より慎重な審査を行うとされています。とくに「経営・管理」の在留資格については、消費税の不正還付や、所得税・法人税に関して重加算税の処分を受けた者は、審査上、消極的な要素(マイナス評価)として扱われることが示されています。事業を営む外国人にとっては、納税状況が在留資格の維持に直結し得ることを意味します。

2.そもそも「納税」とは何か(基本のおさらい)

2-1.納税は国民の義務であり、社会を支える仕組み

日本では、日本国憲法第30条において「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」と定められています。納税は、教育、医療、道路、警察、消防、社会保障といった、私たちの生活を支えるさまざまな公共サービスの財源になっています。税金は、社会全体で費用を出し合い、みんなで暮らしを支えるための「会費」のようなものだと考えると、イメージしやすいでしょう。

2-2.日本に住む外国人にも納税義務がある

納税の義務は、日本国籍を持つ人だけのものではありません。日本に住み、収入を得ている外国人も、日本人と同じように、所得税・住民税・消費税などを納める義務があります。「外国人だから関係ない」というものではなく、日本で暮らす以上、社会の一員として納税に向き合うことが求められます。

3.日本における納税の歴史

日本人にとって納税がなぜ重みを持つのかは、その長い歴史を知るとより理解しやすくなります。

3-1.古代の税制(租・庸・調)

日本で本格的な税の制度が整えられたのは、645年の大化の改新以後とされています。当時は、収穫した稲の一部を納める「租(そ)」、都での労働の代わりに布を納める「庸(よう)」、地方の特産物を納める「調(ちょう)」などがありました。すでにこの時代から、人々が国に対して何らかの形で負担を分かち合う仕組みがあったのです。

3-2.武士の時代の「年貢」

その後、豊臣秀吉が行った「太閤検地」では、全国の土地の収穫量を米に換算した「石高(こくだか)」が定められ、その一定割合を「年貢」として納める仕組みが整えられました。江戸時代を通じて、米で納める年貢は、社会を支える税の中心であり続けました。

3-3.明治の地租改正

1873年(明治6年)、明治政府は安定した財源を確保するため「地租改正」を行いました。これは、土地に価格(地価)をつけ、その一定割合を、豊作・不作にかかわらず現金で納めるという、それまでの米中心の年貢から大きく転換する改革でした。当初の税率は地価の3%とされましたが、農民の負担が重く各地で反対の一揆が起こったため、後に2.5%へ引き下げられています。

3-4.現在の「申告納税制度」へ

そして1947年(昭和22年)には、納税者が自分で税額を計算して申告し、納税する「申告納税制度」が導入されました。現在の日本の税制は、この「自分で正しく申告して納める」という考え方が基本になっています。長い歴史の中で、日本の納税は「国に取られるもの」から「国民が自ら支える社会の会費」へと形を変えてきたといえます。

4.外国人が納税で気をつけるべきこと

4-1.期限内納付の実績が信頼につながる

今回の情報連携により、納税状況が在留審査に影響する可能性がこれまで以上に高まりました。とくに、在留期間の更新や、永住・帰化などの申請を将来的に考えている方にとって、日頃から税金を期限内にきちんと納めているという実績は、大きな信頼の材料になります。

4-2.事業を営む方はより一層の注意を

「経営・管理」の在留資格などで事業を営んでいる方は、消費税・法人税などの申告・納税を適正に行うことが、事業の継続そのものに関わってきます。重加算税などの重い処分を受けると、在留資格の審査でマイナスに評価されるおそれがあるため、税務についても専門家と連携しながら、適正な処理を心がけることが重要です。

5.まとめ

2026年7月1日から始まった入管庁と国税庁の情報連携により、外国人の納税状況は、これまで以上に在留審査と結びつくことになりました。納税は、日本国憲法に定められた国民の義務であると同時に、長い歴史の中で社会を支え続けてきた大切な仕組みです。日本で暮らす外国人にとっても、日頃から適正に納税を続けていくことが、安定した在留や、将来の永住・帰化への一番の近道になります。

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執筆者プロフィール

行政書士
上田 恭兵(Ueda Kyohei)

神戸市中央区を拠点に、関西・近畿エリアを中心に活動しています。

外国人関連業務を中心に、在留資格申請、外国人雇用手続き、民泊許可などのサポートを行っています。

English inquiries are welcome.

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参考文献・関連リンク

・自由民主党「厳正な外国人の在留審査実現を入管庁と国税庁が情報連携開始」 
・国税庁「在留外国人に関する出入国在留管理庁と国税庁との間の情報連携に関する確認書」
・出入国在留管理庁 外国人生活支援ポータルサイト「税金」 
・日本税理士会連合会「歴史から見る我が国の『税』」(講義用テキスト)

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