【2026年最新】造作譲渡契約書とは?記載事項・相場・作成のポイントを行政書士が徹底解説
飲食店や店舗を「居抜き」で譲渡・譲受けする際に欠かせないのが「造作譲渡契約書」です。この記事では、造作譲渡契約書に必要な記載事項から、作成費用の相場、そして「安さ」だけで選んでしまうことのリスクまで、専門家の視点からわかりやすく解説します。
1.造作譲渡契約書とは?基本と役割

1-1.造作譲渡契約書の定義
「造作(ぞうさく)」とは、内装・厨房設備・空調設備・什器備品など、店舗に取り付けられた設備や物品のことを指します。造作譲渡契約書とは、これらの造作を、前の借主(譲渡人)から新しい借主(譲受人)へ有償で引き渡す際に取り交わす契約書のことです。
いわゆる「居抜き」での店舗売買では、この造作譲渡契約書が中心的な書類になります。
1-2.どのような場面で必要になるか(具体例)
たとえば、飲食店を廃業する方が、同じ物件で新しく飲食店を始める方に対して、厨房設備や客席のテーブル・椅子、エアコンなどをまとめて譲る場合です。この場合、造作譲渡契約書を作成することで、
- 何を譲渡するのか(対象物の範囲)
- いくらで譲渡するのか(譲渡代金)
- 譲渡後に不具合が見つかったらどうするのか
といった点を明確にし、後々のトラブルを防ぐことができます。
2.造作譲渡契約書に必要な記載事項

しっかりとした造作譲渡契約書には、最低限、以下の項目を盛り込む必要があります。
2-1.対象となる造作の特定
「厨房設備一式」のような曖昧な記載では、後で「これは含まれるのか、含まれないのか」という争いになりがちです。メーカー名・型番・数量まで含めた「造作目録(別紙)」を添付し、契約書本文から目録を引用する形にするのが望ましいです。
2-2.譲渡代金と支払い条件
譲渡代金の総額だけでなく、手付金の有無、残代金の支払時期、支払方法(振込・現金など)、支払いが遅れた場合の扱いまで定めておく必要があります。
2-3.引渡し時期・引渡し方法
いつ、どのような状態で引き渡すのかを明記します。賃貸物件の場合は、貸主(オーナー)との賃貸借契約の引継ぎ・承諾のタイミングとも連動するため、注意が必要です。
2-4.契約不適合責任に関する定め
引渡し後に設備の故障や不具合が見つかった場合、譲渡人がどこまで責任を負うのかを定める条項です。民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」という考え方に整理されています(民法第562条〜第564条、e-Gov法令検索で確認可能)。「引渡し後は一切責任を負わない」という特約を入れることも可能ですが、その場合は譲受人側が実際に設備を確認したうえで合意しているという記録を残すことが重要です。
2-5.原状回復義務との関係整理
賃貸借契約が終了する際、借主は物件を「原状回復」して貸主に返す義務を負うのが一般的です(借地借家法における賃貸借契約の性質上、実務では賃貸借契約書の特約で原状回復義務が定められます)。造作を譲渡したからといって、貸主に対する原状回復義務がなくなるわけではないため、「誰が最終的にオーナーに対して原状回復義務を負うのか」を契約当事者間で整理しておく必要があります。
3.作成費用の相場と「安さ」だけで選ぶリスク

3-1.一般的な相場は2万円〜5万円程度
契約書作成を行政書士に依頼した場合の費用は、一般的に2万円〜5万円程度が相場とされています。日本行政書士会連合会が実施している報酬額統計調査でも、契約書作成に関する報酬は案件の複雑さによって幅があることが示されています(日本行政書士会連合会「報酬額統計調査の結果について」)。
3-2.金額より重要なのは「中身」
ただし、造作譲渡契約書において本当に大事なのは金額の大小ではなく「中身」です。前章で挙げたような記載事項(対象物の特定、契約不適合責任、原状回復義務との関係など)が抜け落ちていると、いざトラブルが起きたときに契約書が機能しません。
たとえば、こんな具体例があります。
引渡しから2ヶ月後にエアコンが故障。契約書に「設備の状態」や「契約不適合責任」についての定めがなかったため、譲渡人・譲受人のどちらが修理費用を負担するのかで話がまとまらず、感情的な対立に発展してしまった。
このように、簡易に作成しただけの契約書は、平穏に取引が終わる分には問題になりませんが、いざ争いになった場面では不十分だと言わざるを得ません。
3-3.簡易な契約書で起こりうるトラブル事例
- 造作目録がなく、「何が譲渡対象だったか」で揉める
- 支払い条件が曖昧で、残代金の支払時期をめぐって対立する
- 原状回復義務の負担者が決まっておらず、退去時にオーナーとの間で追加費用が発生する
4.行政書士に依頼する際の注意点

4-1.安価な作成代行だけでは自分で作るのと同じクオリティになることも
「とにかく安く」という基準だけで行政書士を選んでしまうと、テンプレートに名前と金額を当てはめるだけの簡易な契約書になってしまうことがあります。この場合、2万円程度の費用を払ったとしても、実質的には自分でひな形を検索して作成したのとあまり変わらないクオリティになってしまう可能性があります。
4-2.要件を詰めた契約書作成が重要な理由
造作譲渡契約書は、当事者の状況(賃貸借契約の内容、造作の状態、譲渡後の使用予定など)によって、盛り込むべき条項が変わってきます。単なるひな形の当てはめではなく、依頼者から丁寧にヒアリングを行い、実情に合わせて要件を固めたうえで契約書に落とし込むことが、トラブルを未然に防ぐために欠かせません。
5.弊所にご依頼いただくメリット

5-1.要件をしっかり固めたオーダーメイド契約書作成
弊所では、造作譲渡契約書の作成にあたり、まず依頼者様から丁寧にヒアリングを行い、譲渡対象・代金・引渡し条件・契約不適合責任・原状回復義務の整理など、必要な要件を一つひとつ固めたうえで契約書を作成いたします。テンプレートをそのまま流用するのではなく、実情に即した内容に仕上げることをお約束します。
5-2.価格はご相談に応じて柔軟に対応
費用については、案件の複雑さや譲渡対象の内容によって異なりますので、まずはご相談ください。一律の金額でお答えするのではなく、内容をお伺いしたうえで適正な費用をご提案いたします。
5-3.特急対応も可能
「物件の引渡し日が迫っている」「オーナーとの調整期限が近い」といった急ぎのご依頼にも、特急対応で対応可能です。まずはお気軽にご相談ください。
6.まとめ
造作譲渡契約書は、単に「作ればいい」というものではなく、対象物の特定・代金・引渡し条件・契約不適合責任・原状回復義務との関係まで、しっかりと記載してこそ意味を持つ書類です。相場である2万円〜5万円という金額だけにとらわれず、いざというときにご自身を守ってくれる「中身」のある契約書を作成することが何より重要です。
弊所では、英語でのご対応はもちろん、その他の言語でもチャット機能を用いたスムーズなコミュニケーションに対応しております。日本語でのご相談やご説明も、ゆっくりと丁寧にお話しいたしますので、どうぞ安心してご相談ください。
執筆者プロフィール
行政書士
上田 恭兵(Ueda Kyohei)
神戸市中央区を拠点に、関西・近畿エリアを中心に活動しています。
外国人関連業務を中心に、在留資格申請、外国人雇用手続き、民泊許可などのサポートを行っています。
English inquiries are welcome.
参考文献・関連リンク
・e-Gov法令検索「民法」第562条〜第564条(契約不適合責任)
・e-Gov法令検索「借地借家法」(平成三年法律第九十号)
・日本行政書士会連合会「報酬額統計調査の結果について」